世界中の新聞の見出しの流れは、不安…金融危機…崩壊…苦痛といった毎日の苦い薬のように、危機という耳障りな音から安全な距離を保つことを不可能にし、混乱、恐怖、当惑、そして失望を感じさせています。

 

行動科学によると、世界金融危機は危機の長期化を原因とする今までとは異なる不安を人々に与えているとのことです。今までの危機に対する最も適したセラピーは時間でしたが、現在の金融危機は慢性化しており、世界中に蔓延しています。つまり、金融メルトダウンは全ての人に影響を及ぼしていて、終わりが見えないのです。行動科学者も他の人々と同様に現在の危機に対する健全な対処法を探しています。

 

対処を超えて(Beyond Coping)

行動科学が基礎にしている根拠とは、人間がどうにかして自身を変化させたいということです。より健全な対処法戦略は、うつ、依存症、肥満、心臓疾患などを含む、金銭的ストレスが引き起こす深刻な健康問題を最小限に抑える手助けになります。しかし私達が効果的に変化するためには、対処するだけでは不十分です。私達が危機それ自体から既に学んだこととは、時間の経過と共に世界経済を食い尽くす金融コネクションの結末から逃げることができないということです。金融機関から商品生産者へ、そして生産者から消費者および福祉国家へというように、人間の相互連結は明白になりました。人と人との関係、そしてその間にある影響は絶大です。

 

カバラの科学は、私達が実際に現実の全レベルにおいて相互的につながっているのだが、個々の部分それぞれがそのつながりに対する自覚を失ってしまったと説きます。そして一人一人が人々の相互連結を感じることよりもむしろ他者に依存せずに独立していると感じています。しかし真実は、私達の環境は1つの集合体であり、今やその集合体が私達に金融社会という形で大きな圧力をかけているということです。

 

幸福・安寧・福利 (Wellbeing)

自分達を変えるには、私達はただ危機に対処するだけでなく、もっと高く目標を掲げないといけません。世界金融危機は、私達が人間からなる集合体の異なる部分として、1つの体系のなかで相互連結していることを明らかにしました。異なる部分から構成される人間の体と全く同じように、一部分で何かをすれば、それが相互連結を通じてその他の全体系の隅々にある全部分において感じられるのです。よってこの中で切り離された「個」として機能しているものはひとつもありません。もし一部分が止まれば、均衡・調和が損なわれ、全体が影響を受けます。

 

同様に、人類における不均衡が現在の金融危機を生じさせたのです。切り離された部分として危機の対処法を考え出すことは、状況の深刻化につながると私達の経験は示しています。この世界に蔓延している危機の理由は、私達が自分達の相互連結性を見失ったからです。そしてまさにこのつながりを通じて危機に対する健全な対処法を見つける事ができるのです。1つの体を構成する全部分が、からだ全体の利益の為につながっていることと全く同様に、個人において最も利益のある経済モデルというものは、全人類に対して繁栄とウエルネスをもたらすものであると、この世界経済システムの中に置かれている一人残らずの全ての人が理解しなければなりません。

 

 

Last Updated (Tuesday, 14 June 2011 15:45)