カバラでは、「神」と「自然」という言葉は同義語です。自然は利他的であり、神を発見するためには、私たちは自然のようになる必要があります。


2005年11月に東京の会場で行われた発表で、進化生物学者のエリザベス・サトゥーリスは、次のように述べています。 「分子や細胞、臓器……それらは全て私利私欲を持っています。しかし、身体のどこかが自己利益が示すと、部分間で自己利益を取り消すように強制します。 これが自然の秘密です。 あなたの身体では、どんな瞬間もこういった交渉が執り行なわれ、システムを調和に駆り立てているのです」。

これとまったく同様に、カバリストは「生物の細胞は、全身を維持するために相互に与え合うことで結束する」と述べています。 体の各細胞は、その維持に必要なものを受け取り、残ったエネルギーは体の他の部分のために費やします。自然のあらゆるところで、自らがその一部である全体に利益をもたらすように働き、その中で全体性を見いだします。利他的に働かなければ、体の存続は不可能です。 実際に、命それ自体を存続することができません。

科学とカバラはどちらも、単なる問題にとどまらない、この世界における最大の問題は私たちであると認めています。 それについて以下に、2つの例を述べます。


「私は、コンピュータウイルスは生命体のうちに入るのではないかと思っています。コンピュータウイルスは、これまでどう見ても破壊的な生き方を創り上げてきた人間の性質について何かを言っているのではないかと、私は思います。私たちは自分たちのイメージの中で生命を創り出したのです」

(スティーヴン・ホーキング、イギリスの宇宙論者・物理学者)


「簡単な言葉で言おう。我々一人ひとり、その各個人には、自分の利益のために世界中のすべて人の命を利用し、必要に迫られてやむを得ず他者に与える性質があるということ。そして、 たとえ与えるときであっても、他者を利用したり搾取したりする。しかし、それは彼の友がそれを感じないように狡猾に成されるのだ」

(バール・ハスラム、『世界の平和』より)


気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新の報告によると、すでに何千人もの科学者が、何世紀にもわたる我々の自然に反した態度を終焉させて、自然との調和に取り組み始めなければならないと述べています。彼らは、自然は何をすべきか、いつすべきかを、もともと知っていると説明しています。私たちが邪魔さえしなければ、問題は片付いていくでしょう。各身体が持つ免疫システムのように、自然はそのバランスを維持するメカニズムを持っているのです。

このバランスは相互に関連した制御メカニズムによって統制された動的平衡であり、そこでは自然がその中の特定要素だけについて考えることはありません。自然はシステム全体のことを考えています。私たちの身体の各臓器が全身の健康を気にかけることなく、その臓器だけの健康に気を配っていたとしたら、身体がどれほどひどい損害を被るかを想像してみてください。

そのような状態では、各臓器は互いに血管を奪い合い、隣り合う臓器に栄養や酸素が行かないようにします。抗体を作り出す臓器は他の臓器を異物としてみなし、それらへ向けて抗体を放ちます。そして、最強の抗体を持つ臓器が、他の臓器を破壊していくのです。するとすぐ、本当にその直後に、身体は死に至ります。そして、自己中心的な臓器もまた、身体とともに死んでいきます。そういった過程が生物の中で起こったとき、それは「がん」と呼ばれるのです。

自然が存続している事実。そしてどんな時、どんな瞬間も自然はそれ自らを破壊することはないという事実は、自然が利己的に機能していないことを証明しています。またそれは、自然がシステムとして機能し、各部にとってではなく、システム全体にとって良好な状態を優先させている証拠でもあります。システムのニーズが各部のニーズよりも優先されるときのことを、カバラでは「利他主義」と言います。利他主義のシステムでは、各要素はシステム全体に貢献します。それが、生物であっても人間社会であってもです。

人間は、ほとんどすべての面で、動物の一種と言えます。しかし、人間には自然とは異なる一つの側面があります。自己の利益をシステム全体の利益よりも優先させるという面です。これこそがエゴイズムの本質です。動物や植物、石などの鉱物には、どのように振る舞うべきかを教える必要はありません。それらの行動や作用は、常に自然と調和し、利他的で、システム全体のニーズを個々のニーズよりも優先します。そのため、動物は獲物を狩るときでも、自らを維持するに足る分しか獲らないのです。そしてだからこそ、自分の生息地を自然なバランスで維持できています。

しかし、人間は食べるためでなくても狩りをします。富を手に入れるために搾取をするのです。ですから、密猟には罰が与えられています。人類にある問題はただ一つ。利他的な動物とは異なる、利己的な「オペレーティングシステム」で人類が走りつづけていることです。自分たちを改善し、自然の恒常性を乱さないようにするためには、現在の欠陥システムではなく、利他的なオペレーティングシステムをインストールする必要があります。


そして、欠けているディスクを見つけるには、「プログラムの製造元」であるクリエーター(創造主)にアクセスする必要があります。カバラでは、「神」と「自然」という言葉は同義語です。そのため、その2つは86という同じ数価を持っています。カバリストは、利己的なディスクを利他的なディスクに置き換える方法を教えるメソッドを発見し、アップグレードしています。そして、表に踏み出し、世界へ向けてカバラを紹介しています。


マイケル・ライトマン

Last Updated (Sunday, 14 April 2019 00:24)